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昨日15日、政府・日銀は約6年半ぶりとなる為替介入に踏み切った。今回の介入
に際し、欧米時間にも機を見て介入を行っただけでなく、政府と日銀が相次いで
口先介入を行い、今回の円高対策が連携の取れた行動であることを示した。また
介入資金を市場に放置する「非不胎化」を海外にアピールすべく英語で情報発信
を行ったばかりでなく、今回の介入について海外の中央銀行は相次いでコメント
を避けるなど、海外にも政府・日銀が周到に準備をした上で介入に踏み切った事
を示した。また15日の介入額は2兆円超とも言われ、1日あたりでは過去最大級
となる大量の介入により、15日のドル/円は安値から3円近く上昇した。
今回の介入は周到な準備のもとに行われたが、既に内外からほころびが出てきて
いる。まず15日には仙谷官房長官が会見で「82円が一つの防衛ラインかと思う」
と述べており、再び円高進行した場合、82円が具体的な目標値となる可能性が出
てきた。
16日には白川日銀総裁からは「先進国中銀のバランスシート拡大がインフレ率の
加速に結び付いた例は認められない」など、追加金融緩和に消極的とも取れる発
言が出た。これにより政府と日銀との対応に温度差が感じられると、その後
ドル/円は85円半ばから85円前半まで弱含む場面が見られた。
また現時点でのドル/円相場への影響は見られないものの、海外では既にユンケル
・ユーログループ議長兼ルクセンブルグ首相や、レビン米下院議員からは介入を
けん制する発言が出ている。
もし国内から円高のメリットや追加緩和に消極的な発言が出た場合や、海外から
の介入けん制発言が相次ぐ場合にはドル/円には下落圧力が掛かると見られ、そう
なると介入の神通力が切れるのは早そうである。
外為どっとコムより。
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